LECTUREDr.小島の小児がん講座

小児がんに対する治療法 lecture

2020.11.2

小児がんに対する治療法:小児がん基礎知識(3)

名古屋小児がん基金理事長/名古屋大学名誉教授
小島勢二

小児がんに対する治療法

小児がんに対する治療法

小児がんに対する治療法を示します。固形がんの治療は手術での摘出が基本ですが成人のがんと比較して、化学療法へよく反応するがんが多く、一期的に完全摘出が困難な場合には、化学療法を先行し、腫瘍が縮小してから摘出術を行うこともしばしば行われます。

難治性腫瘍に対しては、造血幹細胞移植を併用した大量化学療法も試みられます。造血器腫瘍に対しては、抗がん剤による化学療法が基本ですが、近年は免疫チェックポイント阻害薬や遺伝子改変T細胞療法などの免疫療法が注目されています。

抗がん剤の種類

抗がん剤の種類

抗がん剤は、がん化学療法に用いる薬物の総称で、腫瘍細胞と正常細胞に対する細胞毒性の差を利用しています。すなわち、正常細胞への毒性が少なく、腫瘍細胞への死滅作用が大きい物質が医薬品として開発されてきました。単独で投与されることは少なく、多くはいくつかの薬剤を組み合わせた、多剤併用療法が試みられます。抗がん剤は、その構造や作用機序等により、アルキル化薬、代謝拮抗薬、ピリミジン代謝拮抗薬、プリン代謝拮抗薬、植物アルカロイド薬、トポイソメラーゼ阻害薬、アントラサイクリン系抗がん薬、プラチナ製剤に分類されます。

抗がん剤の副作用は、抗がん剤に共通する骨髄抑制、悪心。嘔吐、脱毛、粘膜障害などのほか、それぞれの抗がん剤に特有な副作用が見られるので、その使用にあたっては、副作用についての十分な知識を有していることが必要です。

小児がん拠点病院の選定と評価結果

平成24年にがん対策推進基本計画が閣議決定され、重点的に取り組むべき課題のひとつとして小児がん対策が選ばれ、拠点病院を中心とした小児がん診療体制の構築を図ることが閣議決定されました。小児がん患者やその家族が安心して適切な医療や支援を受けられるような環境の整備を目指し、5年以内に拠点病院を整備し、さらに小児がんの全国の中核的な機関の整備が開始されました。

小児がん拠点病院の評価結果

よく、週刊誌に病院ランキングの特集がありますが、その多くは、単に症例数や手術数を順番に並べたものです。小児がん拠点病院の選定は、症例数のほか、緩和ケアや相談支援体制、病診連携、長期フォローアップ、自施設の診療従事者数、研修の実施体制、臨床研究、患者教育など、9つの項目に10人の評価者が点数をつけ、その総合点が15番までの病院が拠点病院に選ばれました。

小児がん拠点病院の選定

全国を7つのブロックにわけ、関東甲信越では4病院、近畿では3病院、東海・北陸では2病院、その他のブロックでは各1病院が選定されました。選選ばれた病院の内訳は大学病院が8病院、小児病院が7病院でした。名大病院は全国でもトップの総合評価で拠点病院に選ばれましたが、症例数が多いのみでなく、とりわけ臨床研究において高い評価を得ています。

小児がん拠点病院の選定 小児がん拠点病院の選定

東海・北陸ブロックは名大病院と三重大病院が拠点病院ですが、各県にある連携病院と協力体制を組んでいます。ブロック内では、定期的にwebによる症例検討会も開催されています。

新しく選定された小児がん拠点病院

昨年再評価が行われ、小児がん拠点病院の再認定が行われましたが、大阪府立母子医療センターに代わって、静岡県立こども病院が選定されました。名大病院は、今回も最高点で再認定されました。

造血幹細胞移植は移植経験が重要

日本造血幹細胞施設

小児がんの患者数は比較的少ないにもかかわらず、わが国においては多くの病院が小児がん患者の診療を行っています。小児がんの治療において、造血幹細胞移植は重要な役割を担っていますが、全国では70以上の施設が小児に対して造血幹細胞移植を行なっています。その結果、多数の小規模な移植施設が造血幹細胞移植を行っています。造血幹細胞移植では、移植経験が重要で、大規模な移植施設の治療成績は、小規模な施設と比較して優れていることが知られているので、海外では大規模な移植施設に患者は集約されています。

各施設における年間移植症例数(2012年)

我が国の各移植施設における年間の小児移植症例数の分布を示します。年間の移植症例数が30例以上あるのは2%にすぎず、20~29例ある施設も7%に過ぎません。0~4例の施設が41%、5~9例が25%と10例以下の小規模な移植施設が大半です。海外では、少数の大規模施設に患者が集約されているのとは大変様相が異なります。

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