MESSAGE基金からのメッセージ

ALDと闘う太田佑弥さんを支えるゆーや’sバンドがライヴを開催 message

2019.9.25

副腎白質ジストロフィー(ALD)と闘う太田佑弥さんを支えるゆーや’sバンドがライヴを開催

2019年8月30日 中日新聞「ライブ=生きる喜び 難病と闘う港区の太田さん 9月8日公演」

「難病とともに生きる 笑顔を絶やさない人生」

 “2019年9月8日(日曜日)、ゆーや’sバンドが港図書館で初の一般向けライヴを行う”、8月30日の朝刊に掲載されたこの記事を目にした小島理事長は、自身が骨髄移植を行い、その後10年間、外来で定期的に診察してきた佑弥さんとの再会を果たすべく、名古屋市港図書館のライヴ会場を訪れました。

 ゆーや’sバンドのバンドリーダーこと太田佑弥さんは小学4年生の時に、先天的代謝異常の難病である副腎白質ジストロフィー(ALD)を発症しました。唯一の頼みの綱である骨髄移植を受け、命は繋ぎ止めましたが、視力を失い、徐々に全身の自由を奪われ、言葉も発することができなくなってしまいました。よく笑い、楽しいことが大好きだった佑弥さんの顔から笑顔が消え、その日一日を生きることが精一杯の辛い闘病生活が続きました。

 そんなある日、母親の美穂さんが看護師さんとゆずの曲を聴きながら佑弥さんの体拭きをしていた時のこと、“栄光の架橋”のさびの部分で佑弥さんの瞳が輝きを放ち、ニコッと笑顔を見せたのです。美穂さんは看護師さんと泣きながら抱き合い喜んだそうです。

 このことをきっかけに、美穂さんは音楽が好きな佑弥さんのためにバンドを立ち上げました。音楽を通して佑弥さんが生きる喜びを感じ、自分は愛されている、必要とされているんだということを実感してもらいたいと思うようになったからです。

 美穂さんは、またこんなことも話してくれました。辛い時、苦しい時、美穂さんを支えてくれたのは他でもない佑弥さんだったそうです。難病と闘いながらも前向きに明るく生きている佑弥さんから教えられたことです。“生きていることは当たり前じゃなく、皆に支えられているから生きていられること、皆に感謝だね!と。”

 そんな前向きで明るい佑弥さんの周りには、支援してくれる温かい輪が自然に出来て、バンドの結成に至りました。バンドの活動を通して、病気のこと、命の大切さを伝えていきたいという佑弥さんの思いが込められています。

副腎白質ジストロフィー(ALD)と闘う太田佑弥さんを支えるゆーや’sバンドがライヴを開催

 笛と木魚を担当する佑弥さんを中心に、相談支援専門員さん、看護師さん、言語聴覚士さん、美穂さんが、飛び入り参加の中日新聞編集委員の安藤さんを交えて、ギターやウクレレなどの楽器や歌でゆずの「雨のち晴レルヤ」と、「栄光の架橋」の2曲を演奏しました。

 100名を超える満員の会場に大きな拍手が沸き起こり、その余韻はいつまでも会場を温かく包みこみました。

 小島理事長は、骨髄移植を受けたのにもかかわらず、健康をとりもどせなかった佑弥さんのことを、ずっと気にかけておりました。佑弥さんと再会を果たせたことを喜ぶとともに、遺伝子治療によって佑弥さんのようなお子さんを一人でも多く救えるよう、医療の発展に寄与しなくてはならないという思いを強くしました。海外からは、ALDの遺伝子治療薬が開発されて、骨髄移植と比べて、ずっと患者さんに負担をかけることなく、病気が治ったことが報告されています。佑弥さんのためにも、日本で遺伝子治療を実現したいと思うようになりました。現在、海外の研究者と連絡を取り合って、名古屋大学で遺伝子治療を行う道を探っています。

副腎白質ジストロフィー(ALD)と闘う太田佑弥さんを支えるゆーや’sバンドがライヴを開催

「けつえきはこじま先生が一番だ」、10年前、佑弥さんの意識がまだはっきりしていた時に創った川柳のひとつです。「生きているだけで感謝だな」、「笑う門には福来るだよ」、「夢は広がるどこまでも」、「一番大切なのは命」など、佑弥さんが伝えてくれた言葉はライヴに参加したみなさんの胸にしっかりと刻まれ、佑弥さんからのお土産として大切に持ち帰りました。

(中川)
※新聞記事は中日新聞様に許可をいただいて掲載しています。



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