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小児急性リンパ性白血病における 超高感度な微小残存病変の検査法を確立 research
小児急性リンパ性白血病における 超高感度な微小残存病変の検査法を確立
名古屋大学大学院医学系研究科(研究科長・髙橋雅英)小児科学の小島勢二(こじませいじ)名誉教授、村松秀城(むらまつひでき)助教、関屋由子(せきやゆうこ)大学院生らの研究グループは、小児急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia;ALL)の重要な予後因子である微小残存病変(minimal residual disease; MRD)を超高感度に測定する検査法を確立し、その臨床的意義を明らかにしました。
小児 ALL は、小児期において最も頻度が高い血液がんです。ALL では、さまざまな検査に基づいて、それぞれの患者の再発リスクの高さを推定し、それに応じた適切な強さの治療を行うことで、治療成績が向上します。治療をしても体内に残る白血病細胞を微小残存病変と呼びますが、これが検出される患者は再発のリスクが高いことが分かっています。
従来、微小残存病変は定量 PCR 法等を用いて測定されていましたが、研究グループは、次世代シークエンサーという新たな機器を用いて、100 倍高い感度で微小残存病変を検査する方法を開発しました。
従来の方法では、細胞 1 万個に1個含まれる(10-4レベルの)白血病細胞を検出していましたが、新たな検査法では、100 万個に1個の(10-6 レベルの)白血病細胞が検出できました。この方法で 72 人の小児 ALL 患者を検査したところ、治療開始後 33 日、80 日、4~5 か月後、治療終了時の超高感度微小残存病変が、強く予後を予測することが明らかになりました。
本研究結果から、次世代シークエンサーを用いた新しい微小残存病変の測定法は、従来の方法よりも正確に小児 ALL の予後を予測することがわかりました。この検査法を用いて、小児 ALL 患者の再発リスクを推定し、それに見合った適切な強さの治療を行うことで、治療成績がさらに高まることが期待されます。
本研究成果は、「British Journal of Haematology」(英国時間 2016年11月11日付電子版)に掲載されました。また、本研究の一部は、日本対がん協会リレー・フォー・ライフ・ジャパン「プロジェクト未来」助成によってサポートされました。
※詳しくは、名古屋大学のプレスリリース(PDF)をご覧ください。
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