RESEARCH最新の研究内容

国際小児がん学会(SIOP)本庶佑先生の特別講演 research

2018.11.22

第50回 国際小児がん学会 京都に参加して

名古屋大学小児科 教授 高橋義行
国際小児がん学会 神経芽腫シンポジウム 名大病院小児科 高橋義行

 2018年11月16日から19日までの4日間、京都で国際小児がん学会(SIOP)が開催されました。SIOPは、世界中の小児がんに関わる臨床医、研究者、コメデイカルが集う学会で日本で開催されるのは、20年ぶりです。今回、神経芽腫のシンポジウムで名古屋大学における研究成果を発表することに加えて、今年のノーベル賞受賞者である本庶佑先生の特別講演の座長を務めるという大役がまわってきました。

ノーベル賞受賞 本庶佑先生の特別講演 国際小児がん学会

 講演の前後に、本庶先生と控室でお話しする機会がありましたが、その存在感には圧倒されました。京都国際会議場のなかでも、最も広い講演会場は、本庶先生の講演を期待する聴衆で埋め尽くされました。

 本庶先生は、細胞死の誘導メカニズムを研究する過程でT細胞の表面に発現するPD-1とがん細胞の表面に発現しているPDL-1が結合して、T細胞の機能を抑えることで、がん細胞が自身を排除しようとする免疫から逃れる仕組みを発見しました。この発見をもとに、抗PD-1抗体を作成し、免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブ(商品名:オプジーボ)という画期的な治療法の開発に成功しました。

 最後に、”ペニシリンの発見は、ペニシリンによってすべての感染症が治せたわけではないが、後に続く抗生剤によって多くの感染症の患者が救われた。私のチェックポイント阻害剤も、これだけですべてのがんを治せるわけではないが、今後開発が続くがん免疫療法で、いつか、がんも慢性病とよばれるようになり、死に至ることなくコントロールされるようになるであろう”と締めくくりました。

 講演後に、聴衆は総立ちで拍手を送り、感動的な講演を拝聴できた喜びを分かち合いました。

(右)本庶佑先生、(左)高橋義行



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