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芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の原因遺伝子変異を発見 research

2017.3.27

芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPCDN)の原因遺伝子変異を発見


 名古屋大学医学部附属病院(病院長・石黒直樹)先端医療・臨床研究支援センターの奥野友介(おくのゆうすけ)特任講師、病理部の加藤省一(かとうせいいち)准教授、名古屋大学大学院医学系研究科(研究科長・髙橋雅英)小児科学の鈴木喬悟(すずききょうご)大学院生らの研究グループは、白血病の一種である芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm; BPDCN)の遺伝子解析を行い、その原因となるMYB融合遺伝子を発見しました。

 BPDCNは、非常に稀ですが、小児にも成人にも発症することがある白血病です。白血病は、血液を作る器官である骨髄に発生するのが普通ですが、この白血病は皮膚の発疹として発症することが多いという特徴があります。確立された治療法がなく、他の白血病に対する抗がん剤治療や、骨髄移植をはじめとした造血幹細胞移植が試みられますが、再発することが多く、予後の悪い白血病です。

 本研究グループは、BPDCNの遺伝子解析を行い、MYB融合遺伝子を発見しました。MYB融遺伝子は、がん遺伝子として知られるMYB遺伝子と、いくつかの他の遺伝子(PLEKH01遺伝子、ZFAT遺伝子、DCPS遺伝子、MIR3134遺伝子)が間違った形につなぎ合わされる(融合する)ことで生じます。

 その結果、通常は抑えられているMYB遺伝子が、他の遺伝子を活性化する働きが強まり、正常な細胞が白血病細胞に変化することが分かりました。本研究では、この融合遺伝子の検査方法を確立し、また、いくつかのMYB融合遺伝子によって生じる治療標的を特定しました。本研究成果により、BPDCNに対するMYB融合遺伝子を検出する診断法や、MYB融合遺伝子を標的とした治療法の臨床応用が加速することが期待されます。

 本研究結果は、英国科学誌「Leukemia」(英国時間2017年3月27日付けの電子版)に掲載されました。

※ 詳しくは名古屋大学のプレスリリースをご覧ください。

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