ACTIVITIES基金の活動報告

東海高校サタデープログラムで小島理事長が講演 activities

2019.9.24

名古屋小児がん基金が目指すところ

東海高校サタデープログラムで小島理事長が講演

 6月29日土曜日、東海高校においてサタデープログラムが開催されました。今回も東海高校OBである川澄敬くん(17歳で悪性リンパ腫にて他界)のお母様である長屋知里さんにご参加いただき、小島理事長と2人で講演していただきました。

 

 長屋さんは、幼い頃に実のお兄様を白血病で亡くされました。それは、長屋さんが5歳、お兄様が6歳の時でした。幼い長屋さんは、お兄様が皆に大事にされ、好きなおもちゃを何でも買ってもらえることや、自分が、両親から家にお友達を呼んではいけないと言われたり、我慢を強いられることに不満を感じていたそうです。お兄様が息を引き取られたその日も、地元の盆踊り大会に連れて行ってほしいと駄々をこねたのを鮮明に覚えており、なんであんなことを言ってしまったのだろうと、未だに自分を責めているそうです。

 家族が突然がんになるということは、本人だけではなく、兄弟姉妹にも大きな影響を及ぼし、家族全員の日常を一変させてしまいます。

 母親になった長屋さんは、今度は最愛の息子さんである敬くんを悪性リンパ腫で亡くされました。小児がん患者の兄弟、さらに母親というふたつの立場を経験した御本人から、家族が抱える困難や苦悩をお話しいただくとともに、つらい闘病生活にも前向きに立ち向かい、希望を失わず、周囲への感謝を忘れることのなかった敬くんの17年間の最期までを包み隠さず語っていただきました。

 敬君は、再発を繰り返し、つらい抗がん剤治療、放射線治療や造血幹細胞移植を受けながらも、高額な治療が税金で賄われていることを知って、自分が治ったら社会に還元し貢献することを思い描いていました。大学生になったら一人暮らしがしたい、彼女を作りたいなど、健康なら当たりまえにできることが、彼にとっては当たりまえではありませんでした。

 17年間という短い人生でしたが、まわりの多くの人々に沢山のことを残してくれた敬くんから、今の幸せは当たりまえではない、幸せを見つけられる心を持てばどんな状況においても感謝する心を持つことが出来ることを私達は教えられました。

東海高校サタデープログラムで小島理事長が講演

 小島理事長は長屋さんの思いに触れ、30年前に血液難病で亡くなられた患者さんのご両親が患者会を立ち上げ、現在に至るまでこの30年間、患者さんやその家族への支援活動をされているという事例を紹介しました。

 お子さんを亡くされるということは、両親、家族にとっていつまでも忘れることができません。家族にそのような思いをさせないことが私の医療の原点になっていると話されました。”30年前と比べれば、小児がんの治療成績は格段に上がったとはいうものの、まだ十分とはいえない。日本国内の子どもたちはもとより、発展途上国の子どもたちをも、もっと救いたい”という思いから名古屋小児がん基金を立ち上げたことを語りました。

講演のなかで、CAR-T細胞療法など高額な治療薬に関しても触れました。

“特に力を注いでいるのは、安価で有用な診断法や治療法を自分達で開発し、すべての子どもたちが高度な医療を受けられるようになること。現在、名大が開発したCAR-T細胞療法の臨床試験を実施しているが、これが患者さんに使えるようになれば、3350万円の薬価がついたノバルティス社のキムリアと比較して、ずっと安価に患者さんに提供できること。今後、キムリアのような高額な薬が増えれば、日本の医療制度、保険財政が危機に陥ることを危惧していること。”などを話しました。

 在校生、保護者、一般の聴講者のみなさま方も熱心に聞き入ってくださり、小島理事長の思いが皆様の心に響き、それぞれが持ち帰ってくださったのではないかと思います。

 講演を通じて、安心して医療が受けられる日本の素晴らしい皆保険制度を、私達の子や孫の世代まで継承していくことの重要性をあらためて認識しました。

(中川)



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